YKK株式会社 2024年度入社式について

2024年04月01日

  YKK株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷裕明)は、2024年度入社式を本日9時より黒部事業所(富山県黒部市)にて執り行いました。

<代表取締役社長 大谷裕明からの式辞(要旨)>
 皆さん、まずはご入社おめでとうございます。また、数多い企業の中からYKKを選んでくださり、心より感謝申し上げます。
   
 YKKグループに新しく加わられた皆さんにまず企業精神「善の巡環」と経営理念「更なるコーポレート・バリューを求めて」について話します。「善の巡環」は他人の利益を図らずして自らの繁栄はないという考え方で、これをわかりやすく説明したのが経営理念「更なるコーポレート・バリューを求めて」です。他人の利益の他人とは、お客さま、社会・社員をさし、我々はこのステークホルダーの方々に優れた技術、経営、商品でより良い企業価値を提供し、共存共栄を図っていくことを示しています。そして、経営理念の中心にある公正は、さまざまな判断を迫られる場面において、物差しとなる行動規範と考えてください。市場の変化に伴ってお客さまの要望や人々の価値観が変わろうとも、YKKは「善の巡環」という不変の企業精神にのっとりお客さま、社会、社員に貢献し続けることを目指します。

 今年度は2021年からはじまった第6次中期事業計画の最終年となります。計画を策定した2020年は、新型コロナウィルス感染症のパンデミック状態下にあり、事業の先行きを見極めるのはとても困難でした。しかし、このような時こそ企業精神「善の巡環」に立ち返るべき、と考え、新常態下であっても、お客さまの多様なご要望に応え、課題や問題を解決しながら新しいお客さまを創造し続けることで持続的な成長を遂げるという方針を掲げました。コロナ禍以降、必要な商品を、必要な量だけ提供する適時・適材・適量のビジネスモデルへの転換が進み、各ファスナーメーカーが自国から世界中の各消費地へ輸出するのに対し、世界70ヵ国・地域に供給拠点があるYKKにとって、地場供給の地の利を活かす千載一遇のチャンスだと捉えています。 

 現在、YKKはサステナビリティを事業の中心に位置づけ活動しています。サステナビリティを広義的に解釈すれば、全てのステークホルダーとの共存共栄を表す考えだと受け止めており、サステナブルな材料を使い、サステナブルなものづくりをし、お客さまが必要とする量を希望納期どおりにお届けする。これこそが新常態下におけるお客さま、社会への最大の貢献であると考えます。サステナビリティの強化は、企業精神や経営理念に基づく取り組みですので、いかに市場が変化し、お客さまのご要望が変化 しようとも、決して変えてはいけない不変的なものです。一方で、変えていかなければいけないものは、デジタルトランスフォーメーションです。従来のものづくり、業務の進め方、お客さまとのコミュニケーションの仕方では多様化するお客さまからの要望を実現することはできません。市場の変化に素早く対応し、 お客さまの要望を実現し、社員のエンゲージメントを高め、全ステークホルダーとの共存共栄を図りながら持続的な成長を遂げることがYKKが目指すゴールです。その達成には的確な業務改革を敢行する必要があり、デジタル技術が不可欠です。

 昨年末、欧州議会とEU加盟国が売れ残ったアパレルの廃棄を禁ずる法案を法令化することを決めました。アパレル産業は年間9,000万トン以上の売れ残った衣料品を廃棄しており、石油産業に次ぐ自然破壊産業であると言われていますが、近い将来、売れ残った衣料品を廃棄できない世の中になるでしょう。アパレル企業が適時・適材・適量のビジネスモデルへと変革する中で、回答納期をよりお客さまの要望に近いものにするという瞬発力が今後は益々求められます。「YKKとの取引は快適」「YKKで働くことは楽しい」とお客さまや社員の皆さんに思っていただくための業務改革がデジタルトランスフォーメーションの 本質的な目的なのです。

 中国にはファスナー供給会社が約3,000社あると言われています。2012年以降、最もお客さまが存在する価格需要帯であるボリュームゾーンをスタンダードと呼んでいます。高付加価値への特化は、このボリュームゾーンを他社へ明け渡すこととなり、結果、自らのビジネス領域を狭めることになりかねません。YKKは高付加価値帯に逃げず、ここ黒部で育んだ技術を海外で用い、常に最大需要帯のど真ん中に挑み続けています。2013年より取り組んできたコスト削減施策がようやく功を奏し、現在では中国・アジアにある主力事業会社の製造コストは、中国最大のファスナー供給会社と同等レベルまできています。

 今年、YKKは創業90年を迎えます。企業寿命が50年と言われている中、いまだに持続的成長を続け、毎年販売の新記録更新を目指しています。社会、世界中のお客さま、そして、社員の皆さまにより良い企業価値を提供し、地球・自然環境保護という基本行動規範をつうじ、社会に貢献し続けられる良い会社で常にありたいと思います。

 YKKの金言の一つに「ものづくりは人づくり」という言葉があります。コアバリューのひとつ「失敗しても成功せよ/信じて任せる」はその象徴です。成功している人とは、失敗しない人ではなく、いろいろな失敗を経験し、その経験を生かし、新しい価値を創造できる人だと思います。YKKでは失敗しても必ず周りの仲間、上司が皆さんを助けるので、失敗を恐れず、あらゆることへチャレンジ精神を持ってください。企業資産の中で最も尊いものは人です。人こそが全てです。YKKは全世界に多様な才能と可能性にあふれる人財を有しています。本日、その一員になられた皆さまを、会社を代表して歓迎します。YKKでの仕事をつうじ素晴らしい社会人へ育成させていただくことをこの場で誓い、私の式辞とします。

                          以上

2024年度YKK入社式  出席人数 134名 
           (内訳 YKK株式会社 127名、黒部地区関係会社  7名)
≪参  考≫
 2024年度 新入社員数                                     
 YKK株式会社               127名(110名) (  )は昨年度実績
 YKK AP株式会社         357名(262名)
 関係会社             10名(     5名)
 YKKグループ            494名(377名)