YKKグループ 第6次中期経営計画(2021年度~2024年度) 2023年度連結業績と2024年度経営方針のポイント

2024年03月05日

1.YKKグループ 第6次中期経営計画 全体方針・連結業績

(1)YKKグループ 第6次中期経営計画 全体方針

 YKK精神「善の巡環」に基づき、 YKKグループ第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)では、「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」という前中期経営ビジョンを継承しています。最重要ポイントである「持続可能な社会の実現に向けた創造力」のもと、「商品力と提案力」「技術力と製造力」の4つの力に、国内事業会社の定年制度廃止も含めた年齢、性別、国籍等を超えた「多様人財」を加え、取り組んでいます。なお、「多様人財」活用については、経営理念「更なるCORPORATE VALUEを求めて」を持続的に実践し、商品・技術・経営でステークホルダーに貢献するべく、人的資本、多様性、エンゲージメントに関する取組みを行っております。また、2021年度より工機技術本部をファスニング事業とAP事業にそれぞれ融合し、よりスピーディーに両事業に特化した設備開発と機械製造のエンジニアリングを行う経営体制に変更するとともに、研究開発部門であるテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を新設しました。現状の両事業の競争力強化に直結する技術の深耕と中長期を見据えて将来的に両事業に資する新技術や新たな事業領域の探索を行っております。

(2)YKKグループ 第6次中期経営計画 連結業績(2023年度推定および2024年度計画)

 2023年度は、それ以前から続く不安定な世界情勢やインフレ等の影響を引き続き受ける状況となり、YKKグループ2023年度連結業績は、売上高は9,233億円(前年比103.4%、計画比97.3%)、営業利益は506億円(前年比90.5%、計画比69.0%)、売上高営業利益率は5.5%と、前年に対して増収減益、計画に対して減収減益を見込んでいます。
 また、2024年度連結業績は、売上高は9,882億円(前年比107.0%)、営業利益は628億円(前年比124.1%)、売上高営業利益率は6.4%、親会社株主に帰属する純利益は476億円、ROAは3.6%、設備投資額は822億円を計画しています。

2.YKK株式会社 ファスニング事業 2023年度 業績・2024年度 事業方針

(1)ファスニング事業 2023年度 業績

 第6次中期事業方針「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」のもと、取り組んでまいりましたが、ロシアのウクライナ侵攻継続、中東情勢の悪化などの地政学リスクの顕在化やインフレ、金融引締めの継続等の影響による市況低迷、さらに市中のアパレル在庫の高止まりによる生産調整の影響を大きく受けました。これに対し、販売ボリュームの伸び悩みの影響をカバーすべく、コスト削減等を進めてまいりました。
 その結果、2023年度業績は、売上高は3,816億円(前年比100.3%、計画比96.3%)、営業利益は292億円(前年比67.0%、計画比58.9%)、売上高営業利益率は7.7%、ファスナー販売数量89.8億本(前年比96.6%、計画比89.0%)を推定し、前年に対して増収減益、計画に対して減収減益を見込んでいます。

(2)ファスニング事業 2024年度 事業方針

 世界情勢と事業を取り巻く環境が想定以上のスピードで変化する中、第7次中期以降を見据え、現中期の最終年度となる2024年度から組織変更を行います。ファスニング事業でのブランド価値をグローバル規模で中長期的に向上させるため、昨年度設置した「事業戦略本部」の配下に「グローバルブランド戦略推進室」を設置し、ブランドコミュニケーション戦略立案から施策展開までを一貫して行う体制とします。また、グローバル規模で事業基盤を構築し「One YKK」として全社一体となって業務を強化するため、「デジタル業務推進部」を設置し、従来組織の「デジタル業務企画室」を組込みます。デジタル活用を手段として、顧客が求める高いレベルのサービスを提供し、従業員にとってウェルビーイングな状態を実現すべく、海外も含めて組織横断で推進するとともに、それを担う専門人財を育成していきます。これらを実現するための投資計画として、2024年度は407億円を予定し、その内訳は、中国・ASEAN・ISAMEAに203億円、日本・Americas・Europeに202億円となり、今後の成長を担う国/地域への積極的な投資を計画しつつ、各地域特性にあった投資をバランスよく実行するとともに、サステナビリティ関連やデジタル関連は将来に向けて重点的に投資する計画です。
 この取組みのもと、2024年度ファスニング事業売上高は4,072億円(前年比106.7%)、営業利益412億円(前年比141.0%)、売上高営業利益率10.1%、ファスナー販売数量96.2億本(前年比107.2%)を計画しています。

3.YKK AP株式会社 AP事業 2023年度 業績・2024年度 事業方針

(1)AP事業 2023年度 業績

 2023年度のAP事業は、国内では円安の継続等による資材価格の高止まりなどの影響を大きく受けたものの、政府の3省連携補助事業により、省エネ改修需要が高まり、内窓を中心とした住宅リフォーム・ビル改装商品の大幅な伸長、住宅事業での高断熱窓化の推進やビル事業での受注拡大により販売は好調に推移しました。海外でも中国での中級市場の新規顧客開拓、台湾での集合住宅市場での拡販、インドネシアでの新規チャネル開拓により、販売が好調に推移しました。
 その結果、2023年度業績は、売上高は5,399億円(前年比106.2%、計画比98.5%)と3年連続で過去最高の売上高を更新する見込みです。営業利益は250億円(前年比140.4%、計画比90.5%)、売上高営業利益率は4.6%と、増収増益を見込んでいます。

(2)AP事業 2024年度 事業方針

 YKK APビジョン「Evolution 2030」及び第6次中期事業方針「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」に基づき、各事業で重点施策に取り組みます。国内は、住宅・ビル両事業において高断熱化と高付加価値化を推進するとともに、3省連携補助事業を活用した断熱提案を強化します。海外は、北米のビル建材では各販売地域での営業体制強化や西海岸製造拠点の立上げによる受注拡大、住宅建材では樹脂窓新工場の稼働効果や新商品による新規顧客開拓に取り組みます。また、2023年に株式を取得したタイのYHSインターナショナル社・サイアムメタル社を基点としたアジア地域でのカーテンウォール事業の基盤整備に取り組みます。これらを実現するための2024年度の投資計画は、国内では増産・新商品対応、デジタル関連、合理化対応、インフラ・基盤整備、海外ではインドネシア、インドの工場再構築などを中心に、合計375億円の投資を計画しています。
 この取組みのもと、2024年度AP事業売上高は5,779億円(前年比107.0%)、営業利益276億円(前年比110.3%)、売上高営業利益率4.8%を計画しています。