YKKグループ第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)2021年度の振り返りと2022年度経営方針のポイント

2022年03月02日

1. YKKグループ 第6次中期経営計画 全体方針・連結業績

(1) YKKグループ第6次中期経営計画 全体方針

 YKKグループ第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)では、「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」という前中期経営ビジョンを継承しています。最重要ポイントである「持続可能な社会の実現に向けた創造力」のもと、「商品力と提案力」「技術力と製造力」の4つの力に、定年制度廃止も含めた年齢、性別、国籍等を超えた「多様人財」を加え、取り組んでいます。また、2021年度より工機技術本部をファスニング事業とAP事業にそれぞれ融合し、よりスピーディーに両事業に特化した設備開発と機械製造のエンジニアリングを行う経営体制に変更し、また、研究開発部門であるテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を新設しました。現状の両事業の競争力強化に直結する技術の深耕と中長期を見据えて将来的に両事業に資する新技術や新たな事業領域の探索を行っております。また、2024年度までにYKKグループの「技術の総本山」である黒部事業所の周辺整備も進めます。

(2) YKKグループ第6次中期経営計画 連結業績(推定)

 2021年度はコロナ禍の影響を大きく受けた一年でしたが、YKKグループ2021年度連結業績(推定)は、ファスニング事業を中心に大きく回復し、売上高は7,953億円(前年比122%、計画比113%)、営業利益は599億円(前年比227%、計画比186%)、営業利益率は7.5%を見込んでいます。
 YKKグループ第6次中期経営計画では、売上高は2022年度8,485億円、2024年度9,435億円、営業利益は2022年度683億円、2024年度963億円、売上高営業利益率は2022年度8.1%、2024年度10.2%、当期純利益は2022年度527億円、2024年度703億円、ROAは2022年度4.7%、2024年度5.6%、設備投資は2022年度833億円、2024年度592億円を計画しています。

2. YKK株式会社 ファスニング事業 2021年度業績・2022年度事業方針

(1) ファスニング事業 2021年度 業績

 ファスニング事業では、第6次中期事業方針「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」に基づき取り組んでまいりました。コロナ禍において世界各地で経済活動が制限され、原材料高騰等のネガティブな要因があった一方で、ワクチン接種も進んだことにより、米国や中国を中心に消費回復も見られ、買い控えの反動と先行きの期待感等が合わさり、年度初めから好調な受注を維持しました。このような状況下、供給体制整備やコストダウン、CO2排出量削減や環境配慮商品の展開といったサステナビリティ対応やデジタル化推進等に取り組みました。
 その結果、2021年度業績は、売上高は3,430億円(前年比139%、計画比125%)、営業利益は441億円(前年比731%、計画比385%)、売上高営業利益率は12.9%、ファスナー販売数量102.9億本(前年比132%、計画比116%)を推定し、売上高、ファスナー販売数量ともに過去最高を見込み、昨年度より大幅に回復しています。

(2) ファスニング事業 2022年度 事業方針

 ファスニング事業では、事業活動を通じてソーシャルグッドな存在であり続けるために、前中期で掲げた「より良いものを、より安く、より速く」という方針に「よりサステナブルに」を加え、また、コロナ後の新常態においては「適時・適材・適量」への要求が高まると考え、経営の根幹に据えたサステナビリティ、基幹商品の更なるコスト競争力強化、それらを支えるデジタル化を推進します。そのための投資計画として、第6次中期経営計画4ヵ年は総額1,245億円を予定し、その内訳は、中国・ASEAN・ISAMEAに614億円、日本・Americas・Europeに631億円となり、今後の成長を担う国々への積極的な投資を計画しつつ、各地域特性にあった投資をバランスよく実行します。そのうち2022年度は396億円の投資を計画しており、サステナビリティ・デジタル関連は将来に向けて重点的に投資する計画です。
 この取り組みのもと、2022年度ファスニング事業売上高3,527億円、営業利益501億円、売上高営業利益率14.2%、ファスナー販売数量107.3億本を計画しています。2024年度ファスニング事業売上高は3,949億円、営業利益640億円、売上高営業利益率16.2%、ファスナー販売数量121.0億本の計画となります。

3. YKK AP株式会社 AP事業2021年度業績・2022年度 事業方針

(1) AP事業 2021年度 業績

 2021年度業績は、売上高は4,469億円(前年比111%、計画比106%)、営業利益は189億円(前年比90%、計画比88%)、売上高営業利益率4.2%の増収減益を見込んでいます。国内では窓の高断熱化の推進や社会ニーズの高い商品の展開などにより、住宅・エクステリア・ビルの各事業で売上高を伸ばしました。海外では中国で不動産規制が継続したことを受け市場が低迷したものの、北米、台湾やインドネシアでは市場回復により販売増となりました。この結果、AP事業として過去最高の売上高を更新する見込みです。一方で資材価格高騰の影響を大きく受け、コストダウンや価格改定に取り組みましたが、営業利益は前年を下回りました。

(2) AP事業 2022年度 事業方針

 パーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」を実現するため、「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を事業方針に掲げ、各事業で重点施策に取り組みます。国内は、住宅事業では商品の機能・デザインによる高付加価値化を進め、様々な商品を展開します。ビル事業では受注拡大に向けた首都圏強化と、集合住宅や非居住物件の改装強化として断熱・換気等のニーズに対する提案を強化します。海外では、北米ではビル建材の西海岸での営業強化や断熱商品の拡販など、各国/地域に合わせた事業展開を推進します。これらを実現するため、2022年度の投資計画は、増産・新商品対応やサステナビリティ投資、米国での増産・合理化対応など合計398億円を予定しています。
 この取り組みのもと、2022年度 AP事業売上高は4,914億円(前年比110%)、営業利益223億円(前年比118%)、売上高営業利益率4.6%を計画しています。2024年度AP事業売上高は5,440億円、営業利益386億円、売上高営業利益率7.1%の計画となります。