トピックス

【It's Not Just A Zip #07】ファッション業界におけるジェンダー問題とYKKの取り組み

Fastening 2020年11月25日

ファッション業界においても根深いジェンダーの問題

昨今は、ますます世界中でジェンダー問題への関心が高まりつつあります。しかしながら2019年の国連のレポートによると、残念ながら完全に平等を実現した国はまだないと示されています。

労働者の多くが女性といわれるファッション業界においても、以前から特に開発途上国における女性労働者の賃金格差などのジェンダー問題が指摘されてきました。

一般的な衣料品の場合、それにかかるコストのうち、製造に関わる労働者に支払われた報酬はほんのわずかしかないと言われており、豊かな生活を送るには十分とは言い難い金額です。また、女性管理職が少ないことも問題視されています。

投資増加や教育整備など、世界で労働環境改善の動き

一方で開発途上国を中心に、ポジティブな変化が起き始めています。2013年に起きたバングラデシュのラナプラザ事故を機に、労働環境を変革するさまざまな動きが生まれ、ジェンダーの問題に対する取り組みも以前より活性化してきています。

具体的な動きとしては、事故後に発足した「The Gender Equality and Returns (GEAR) initiative」において女性労働者の訓練を通じて女性の活躍促進に貢献しています。

2019年3月のGEARのレポートによると、訓練を受けた女性が率いた製造ラインでは、生産効率が平均5%向上し、女性責任者の給与も平均して39%増加するなど、これまでになかったよい変化が生まれています。このように女性が活躍しやすい環境づくりへの取り組みは拡大しています。

バングラデシュ政府も、こういった動きに拍車をかけるために、女性の能力開発を支援するための予算を確保するなど、国としての取り組みを進めています。

女性の労働条件の改善から生じる収入の増加は、家庭内での女性の地位を高めるだけでなく、家庭生活におけるジェンダーバランスの改善に貢献します。また、世帯収入が安定することにより、子供へ教育を受けさせたり、適切な医療を受けられるようになります。「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」達成に貢献する意味においても、ジェンダーの問題にどのようにアプローチするかは非常に重要なのです。

YKKの女性活躍を促進する、世界での取り組み

YKKの事業拠点があるインドにおいても、労働環境改善への動きが加速し、特に女性の活躍の場が広がっています。
インドでは2013年にインド会社法が改正され、企業のCSR(企業の社会的責任)活動が義務づけられました。世界初の試みだったことから大いに注目されたこの新会社法にも、もちろん女性の地位向上に関する規定も導入されました。YKKではこれに先駆けて会社法改正が施行される以前の2007年から、女性支援を中心としたCSR活動をスタートしています。

インドでは識字率や就学率が低く、所得格差の広がりがあったことから、YKKのインド工場の近隣に住む18歳から30歳までの若い女性の知識や技術向上のため、職業訓練センターを設立しました。
センターでは、英語やコンピューターの基本スキル、ミシン操作や手縫いの方法を教えており、設立以降200名近くの修了者を輩出。卒業生は、YKKばかりでなく、他の分野へ就労して活躍する人材も生まれています。

女性が活躍できる場を創出することは、社会をよりよいものにすることに直結します。YKKは女性が平等に働くことができる環境の整備を進めることで、持続可能なよりよい社会の実現に向けた歩みをさらに進めていきます。

※この記事は以下を元に再校正し掲載しています
https://www.ykkfastening.com/itsnotjustazip/vol07/

ページの先頭へ