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【It's Not Just A Zip #06】世界のファッション業界とYKKにおけるカーボンニュートラルの取り組み

2020年10月26日

気候変動の激化と世界への影響

「気候変動に関する政府間パネル」(Intergovernmental Panel on Climate Change)は、特別報告書の中で、1890年から1900年の間に地球の平均地表面温度(GMST)が1.5℃上昇した場合と2.0℃上昇した場合の影響を分析・評価しています。
分析によると、2.0℃の上昇は2050年までに海面が20cm上昇し、1億2800万人から1億3900万人の生活に影響を与えるとされ、また、世界のサンゴに甚大な被害を与えるなど、動植物への影響についても詳細に報告しています。
報告書は、地球温暖化のリスクを予測する上で、2030年までに地球温暖化の原因とされる全世界の二酸化炭素総排出量を2010年比45%まで削減し、石炭の使用をゼロにすることを目標としています。
また、2050年までに世界の温室効果ガス総排出量をゼロまで大幅に削減することを求め、国・政府・企業・個人市民などがセクターの垣根を越えて協力し、積極的に取り組んでいくことを求めています。

サプライチェーンや原料の見直しで気候変動対策を

こういった流れを受け、ファッション業界におけるサステナビリティに対する取り組みも活発化してきており、世界のブランド関係者が集う「Copenhagen Fashion Summit」は、ファッション業界の進むべきより環境に配慮した道を模索し始めています。2018年には持続可能なファッションに関する議論が積極的に行われ、課題解決に向けたソリューションプラットフォーム「Innovation Forum」が新たに紹介されました。

また、2018年12月には国連気候変動枠組条約カトヴィツェ会議(COP24)の場で、アパレル業界の気候変動憲章「Fashion Industry Charter for Climate Action」が発表され、アパレル世界大手約40社や業界団体が署名。パリ協定が定める世界の気温上昇を2℃未満に抑えるという目標を支持し、2015年以降の実績値比で2030年までにスコープ3を含めたGHG(温室効果ガス)排出量を30%削減、および2050年までに実質ゼロにすることなどファッション業界全体で連携して推進すべき取り組みを定めたものです。

YKKの植物由来ファスナー

YKKは地球温暖化対策への取り組みとして、CO2排出削減に力を入れています。
その1つが、業界に先駆けて開発された植物由来の樹脂を利用したファスナーGreenRise®。
光合成で大気中のCO2を吸収して成長するサトウキビの搾りかす(非可食)を使用することで、ファスナーにおけるCO2排出量の抑制を目指した商品です。さらにこの商品の30%に植物由来原料を採用することで、化石燃料の使用量の削減に貢献しています。
またすべてのプロセスにおけるCO2排出量を削減する目的から、製造による直接排出(スコープ1)、工場の電力使用などの間接排出(スコープ2)、資材調達、輸送などの排出(スコープ3)の3タイプに分類。それぞれの数値を明確化することで、削減目標を具体化しています。
こうした活動をグローバルに進められていて、YKKバングラデシュ社では、2016年に太陽光発電とディーゼル発電を組み合わせたハイブリット発電システム導入し、年間9万リットルの化石燃料と265トンのCO2排出量を削減しました。
これらの取り組みの結果、YKKファスニング事業では2018年度に2013年度比6%のCO2削減を達成しています。

今後もYKKは地球温暖化対策に貢献するため、さまざまなCO2排出削減の取り組みを行い、企業の社会的責任を果たしていきます。

  • この記事は以下を元に再校正し掲載しています
  • GreenRiseはYKK株式会社の登録商標です