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【It's Not Just A Zip #02】世界を変えるのは、いつも小さな工夫だ

2020年1月25日

ファッション業界の複雑なサプライチェーンと廃棄物問題

高度化するサプライチェーンの力をテコに、ファッション業界はグローバルに発展し続けてきました。しかしながら、一方で、その弊害として環境への影響が社会的な問題として危惧されています。中でも、排出される廃棄物の増加は大きな問題です。
エレンマッカーサー財団の調べによればファッション業界は5,300万トンもの製品を毎年生産していますが、その73%が焼却または埋め立てられているそうです。

持続可能な社会への努力

このような問題に対し、世界中の国・業界・個別ブランドがさまざまな取り組みを始めています。たとえば、Environmental Audit CommitteeはUK国内におけるファッション業界の環境への影響(炭素排出量、廃棄物、資源および水の使用量、衣類のライフサイクル)などを調査。ファッション業界においても、持続可能な社会を実現するための取り組みを法制化する機運が高まっており、環境問題とこれまで以上に真剣に向き合う流れが加速しています。

YKKでは持続可能な社会を目指す取り組みを行っています

一方、YKKは金属ファスナーの製造過程におけるエレメントの廃棄ゼロを可能にする技術を開発しました。しかも、この技術はYKKが事業をグローバルに拡大する以前のおよそ65年も前に開発されたもので、YKKの特許第一号(1953年、間歇チェーン製造装置の開発)となっています。
この技術の導入以前は、金属ファスナーはすべてのエレメントをテープに植え付けた後、別工程でエレメントを部分的に外して完成品にする必要がありました。そのため、外した部分は廃棄物とせざるを得なかったのです。
そこで、YKKはエレメントの必要な箇所だけを断続的に植え付けることで、無駄な廃棄をなくして製造する技術を開発。工程そのものも根本から見直すと共に、新しい工程に対応できるよう製造機械を大幅に改良しました。こうした廃棄物削減へのアプローチは、この特許にとどまらず、環境に対するYKKの基本姿勢になっています。

このようにYKKは持続可能なものづくりを実現するために、世界各国・地域の製造工場において資源利用の削減・効率化を図り、産業廃棄物削減に向けてグループ全体で取り組んでいます。同時に年1回、海外の各工場でも廃棄委託業務の一斉調査を実施するなど、管理体制を強化することで、持続可能な社会へ貢献できる事業体制を整えています。

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